花粉症対策と乳酸菌の関係

花粉症と乳酸菌、この二つが、何か関係があるのかと思われる方も少なくないでしょう。実はさまざまな花粉症対策のなかで、最近注目され始めているのが、乳酸菌なのです。いままで花粉症の対策として出てきたのは、対症療法の薬の服用や注射、漢方薬やお茶によるものがほとんとでしたが、乳酸菌に花粉症の症状を和らげる効果があることが最近わかりました。乳酸菌といえば、整腸作用があることが知られていますが、なんと、花粉症の症状にも効くことがわかったのです。花粉症対策と乳酸菌との関係は、これまで大学なども研究してきましたが、最も熱心に研究してきたのは日本の飲料会社かもしれません。飲料会社の研究開発の努力によって、乳酸菌に花粉症の症状を軽減する機能が発見されたり、花粉症に適した新しい種類の乳酸菌が発見されたりしたのです。ちなみに、乳酸菌にはさまざまな種類がありますが、それぞれに特性があり、私たち人間は、それぞれの特性を活かして、西洋人はヨーグルトやチーズなどの乳製品から、また我々日本人やアジア人は味噌やぬか漬け、キムチなどの漬物などの発酵食品から乳酸菌を摂取してきました。

乳酸菌が腸管免疫バランスを整える

時代が進み、科学技術が進歩した結果、腸内環境を整える以外にも乳酸菌には他の病気を緩和する効果もあることがわかり、さらに、特に花粉症に効果のある乳酸菌を発見したり、またさらにはより効果の高い菌を開発したりできるようになりました。乳酸菌は基本的に腸内環境を整えるので有名ですが、花粉症も腸内環境とは大きく関係があることもわかってきました。乳酸菌によって腸内環境が改善されることにより腸管免疫力が高まり、間接的に免疫バランスが整って花粉症などのアレルギー症状を緩和するということです。花粉症に効くとされる乳酸菌の一つとして代表的なのは、キリンビールが2002年に発見した「KW乳酸菌」で、高い抗アレルギー作用が期待されるといいます。また、カルピス社も、「L−92」という乳酸菌が鼻のかゆみ、目のかゆみといった花粉症の症状に効果があることを、2006年の人工培養実験によって実証しました。あのヤクルト社も花粉症対策用ヨーグルトを発売しています。ちなみに「ヤクルト」の社名の語源は「ヨーグルト」です。これら日本の企業に負けじと、あのコカコーラ社も研究をしているという話もあります。このように、特に花粉症患者の多い日本では、乳酸菌がより研究され、さらに様々な花粉症対策の商品が開発されることが期待されています。

ヨーグルトが嫌いならサプリも

全ての乳酸菌に花粉症の症状を和らげる機能があるわけではないので、乳酸菌が入っていれば何でもいいというわけではないのですが、花粉症に有効とされる特定の乳酸菌は、細菌やウィルスを攻撃するリンパ球Th1とアレルギーの原因となるリンパ球Th2、この2つのバランスを保ったものなのだそうです。この乳酸菌はアレルギー症状が起こりにくい環境をつくる働きを持っていますので、商品に含まれる乳酸菌の種類を確認してから購入するようにしましょう。上記のカルピス社にしてもキリンビール社にしてもヤクルト社にしても、いまのところ花粉症対策で出している製品は動物性乳酸菌の入ったヨーグルトです。今後は日本人になじみの深い植物性乳酸菌でも花粉症に効果のある種が見つかるかもしれません。動物性乳酸菌は胃酸によって腸に届く前にでほとんどが死んでしまうのですが、植物性乳酸菌は胃酸に強く腸まで届くといわれていますので、期待できます。花粉症対策で乳酸菌を利用する場合には、効果があらわれるのに時間がかかるので、お勧めなのは、なるべく早く、できれば花粉症の季節になってからではなく、花粉が飛散する1ヶ月前くらいから継続して摂取することが望ましいでしょう。また、ヨーグルトが嫌いな人やヨーグルトを食べると下痢を起こすという人には、サプリメントもあるようです。

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